この記事では外壁塗装をする時に最も大切な「劣化のチェックと早期発見」についてお伝えします。
外壁塗装をする時には6つの目的がありますが、そのうちの第一の目的が、この「不具合箇所の早期発見」です。
もしも外壁の不具合に気付けずに知らないうちに劣化が進んでしまったら、最悪雨漏りに繋がってしまいます。
また、室内に雨水が落ちたり染みたりしなくても多くのデメリットが生じてしまいます。
この記事を読めば、外壁が劣化しやすいパーツの場所やポイント・判断基準・危険度などもある程度は判断出来るようになれます。
また、劣化してしまった時の損害・被害を知ることで、早期発見の重要さを知ることが出来るようになるでしょう。
この記事を読むと家を長持ちさせるためには10年ごとにマメに塗り替え工事を行うのが一番良いことが分かります。
外壁の劣化のチェック・不具合箇所の早期発見は外壁塗装の最大の目的
外壁塗装の目的の1番目は、劣化・不具合箇所の早期発見です。
それには外壁のヒビ割れは大きくならないうちに補修をするのが家を長持ちさせるコツになります。
人間の身体で言うと人間ドックや健康診断の役割です。
人間ドックの目的は、病気の早期発見・早期治療です。 定期的に身体の総合的な精密検査を行うことで、「自覚症状のない病気」や「将来的に引き起こす恐れがある疾患や臓器の異常」などを早期に発見し、医師の診断に基づいた早期治療・予防を行います。
人間ドックとは? | みなとみらいメディカルスクエア
家の場合は劣化してしまいそうな場所を早期発見する事や、既に劣化が進んで不具合が起きている場所を発見して早期に修理することです。
劣化のチェックと早期発見を行うためのポイントは?
「外壁塗装は10年毎に行う」とか、「新築から10年したら外壁塗装をする」とかいう事を聞いたことがあるかもしれません。
劣化のチェックと早期発見をするためには早めに・マメに塗替え工事を行うことが重要です。
この10年というのは適当に決めている訳では無く「不具合を確実に早期発見」するのため、あるいは「不具合を未然に防ぐため」の目安なのです。
外壁の不具合箇所の例
外壁塗装・屋根塗装でよく発見する不具合には下記のような事があります。
- モルタル外壁のヒビ割れ
- サイディング外壁の目地の亀裂
- 破風板・帯板の劣化・塗装のハガレ
- 屋根の棟板金の劣化
- コロニアル屋根の割れ・剥がれ
それぞれ簡単に概要を解説していきます。
モルタル外壁のヒビ割れ
ヒビ割れをチェックするポイント
モルタル外壁のヒビ割れには、よくあるパターンと特徴があります。
ヒビ割れの劣化のチェックと早期発見を行うための一番のポイントは、ヒビの入り方による正しい危険度を知っておくことです。
ヒビ割れをチェックするには、まず場所を知っておく必要があります。
そこを中心に劣化の確認をすると早期発見がしやすくなります。
半年に一度はチェックしてみましょう。
モルタル外壁のヒビが出やすい場所
サッシの枠から斜めに入るヒビ割れ
壁の中央に亀甲状に入るヒビ割れ
外壁の下地から入るヒビ割れ
梁の下部に入るヒビ割れ
モルタル外壁のヒビ割れを正しく確認するコツ
ヒビ割れを見つけたら、その太さを確認する必要があります。
ヒビの危険度は、場所と太さが重要だからです。
太さの確認には、クラックスケールがあれば簡単なのでプロはそれを使います。
一般の方の場合は、名刺を使うかシャーペンの芯で代用が出来ます。
名刺は0.3mm程度が多く、シャーペンの芯は0.5mmが多いでしょう。
モルタルのヒビ割れでは名刺やシャーペンの芯がすんなり入ってしまう場合は注意が必要な危険なヒビかもしれません。
逆にそれ以下のヒビ割れの場合は、一旦落ち着いても良いでしょう。
ヒビがあることを忘れてはいけないですが経過観察をして、気になるようでしたら信頼できる業者に見てもらうか10年程度で早めに外壁塗装をするのがお勧めです。
サイディング外壁の目地シールの亀裂
サイディング外壁の目地とは
サイディング外壁は工場で作った板材を1枚1枚張って外壁を囲み、目地を伸縮性のあるシーリング材で埋めていきます。
シーリング材の耐用年数は10年ほど。
経年劣化で伸縮性が落ちて硬くなるとサイディング板の伸縮に付いて行けず切れてしまい、放っておくと目地の隙間から入った水が雨漏りの原因になってしまいます。
「シーリング」は「シール」と略したり、工事のことは「シール工事」と言ったりします。
また、「コーキング」と「シーリング」「シール」は同じ意味です。
シーリングの劣化をチェックするポイント
サイディング外壁のシーリング部分は意外と多く、かなりの場所がシールで塞がれています。
シーリングの劣化のチェックと早期発見を行うためのポイントは、正しいチェック場所を知っておくことです。
一般の方はどこをチェックしたしたら良いからないので、ヒビが入っているのに気付かず放置してしまう事が多くなります。
シーリングをチェックする場所が分かればそこを中心に劣化の確認が出来るので早期発見が出来るでしょう。
半年に一度はチェックしてみましょう。
サイディング外壁のシーリングをチェックする場所
外壁パネル継ぎ目の縦目地
破風板・帯板の継ぎ目など
サッシや玄関開口部の廻り
外壁パネルと軒裏の合わせ目
換気フード・エアコン配管などの廻り
シーリング目地の劣化を正しく確認するコツ
サイディング外壁のシーリング目地の劣化をチェックするポイントを3つお伝えしますので、参考にしてください。
真正面から見る
目地のチェックはきちんと真正面から見るのがポイントです。
目地を斜めから見ると切れていないように見えてしまうので見逃してしまうかもしれません。
北側も見る
劣化というと紫外線による劣化を考えてしまうので、シーリング目地も日の当たる南側が劣化しやすいと思いがちです。
しかし実際には北側の外壁も伸縮するので、北側の目地も亀裂が入りやすいものです。
チェックする際には東西南北の四面をしっかり確認する必要があります。
バルコニーの外壁面は切れやすい
バルコニーの外壁面は建物本体から凸状に出ていることが多く、柱も無いでしょう。
揺れが最も大きい場所なので、一番劣化しやすい場所になります。
3階外壁は切れやすい
バルコニー外壁面と似ていますが、3階部分の外壁は基本的に1階より劣化=亀裂が入りやすいです。
破風板・帯板(幕板)の劣化
破風板(はふいた)は屋根の先に付いている板の部分です。
「外壁」では無いので軽視されがちですが、家のパーツの中では外壁よりも日当たり・風当りが強く、劣化しやすい部分です。
破風板の劣化をチェックするポイント
破風板の劣化症状は2段階あります。
まず第一段階は、塗装のハガレです。
よく見られるのは、丸くポツポツとペンキが剥がれてしまう症状。
第二段階は、その剥がれた部分が次第に表面が劣化して、ミルフィーユ症に表面がボロボロ剥がれてしまう症状です。
破風板の塗装の剥がれ
破風板の下地の剥がれ
破風板の適切な再塗装スケジュールは、5年毎に1回
本来、破風板の適正な塗装スケジュールは、5年に1回が適切です。
しかし破風板は2階や3階の屋根の先にある為、塗装には足場が必ず必要です。
ですから現実的には外壁塗装と同時に塗装をすることになり、10年に1回塗れば短い方でしょう。
外壁よりも破風板の方が劣化してしまう場所なのにも関わらず、これは変な話なのです。
屋根の棟板金の劣化
屋根の棟板金とは?
屋根の棟板金とは、屋根の一番てっぺんにある金属の部分のことです。
瓦屋根の棟は瓦素材で出来ていますが、現在主流の薄型スレート(コロニアル)屋根の棟素材は金属の板金で出来ています。
棟板金の劣化をチェックするポイント
屋根の棟板金の劣化には以下の複数の状況があります。
- 棟板金表面の劣化(錆びなど)
- 棟板金の横に打ってある釘の浮き・抜け
- 棟板金の釘が下地材木に正しく刺さっていない
- 棟板金の下地材木が腐って釘が効いていない
- 棟板金が浮いて見える状態
- 棟板金が下地材木から外れて屋根に引っ掛かっている
- 棟板金が外れて無くなっている
- 棟板金が外れて無くなり、雨が漏っている
屋根の棟板金下地材木の劣化の原因
この棟板金は家の中で一番風雨にさらされて劣化する部分にあります。
しかしそんな場所にも関わらず、取付け工法が「薄い材木下地に横から釘で打つだけ」です。
棟板金が正しく固定されているか?は、新築時の屋根職人さんの腕次第になります。
特に下地材木にきちんと釘が刺さっているか?は見えないので、下手に釘を打つと斜めに刺さって全然釘が効いていない事もあります。
棟板金の劣化をチェックするポイント
屋根の棟板金の劣化をチェックするポイントは単純で、築年数のみです。
棟板金の下地は隠れていて見えないからです。
ただし、棟板金は留めている釘の浮きや抜けが起きやすい場所です。
現状の棟板金の構造ではこの浮きや抜けを止める事は難しく、定期的に留め直しが必要です。
それには10年ごとの塗装時にチェックやメンテナンスを行うしかありません。
また、見えない下地材木の劣化チェックが出来ないことから、築25年を過ぎた時の外装工事で状態の良し悪しに関わらず棟板金は下地ごと交換するのがお勧めです。
コロニアル屋根の割れ
コロニアル屋根とは、現在主流の「薄型化粧スレート屋根」のこと。
薄型化粧スレート瓦とは長くて呼びにくい名称なので、誰もが短縮して呼びます。
そして、通称として多いのが「コロニアル」か「スレート」です。
コロニアルは旧クボタの時代に昭和36年~昭和61年まで発売していたベストセラー屋根材です。
https://exterior-paint.net/%e8%96%84%e5%9e%8b%e5%8c%96%e7%b2%a7%e3%82%b9%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%88%e7%93%a6/
コロニアル屋根は割れるもの?
屋根が割れた!?と聞くと「すぐに雨漏り」と思ってしまうかもしれませんが、現在の屋根はそんなにヤワではありませんので、すぐに雨漏りには繋がりません。
そもそもコロニアル屋根は二枚重ねになっていますし、その下には防水シート(ルーフィング)があるので、そこで必ず防水することになっているからです。
実際、築10年程度になると、屋根のどこか数枚は割れているもので、それでも雨漏りはしません。
※もし雨漏りしている・雨漏りしてしまったら…それは、屋根の割れが直接の原因では無い他の原因である事の方が多いものです。
コロニアル屋根の割れの種類
コロニアル屋根が割れてしまう原因は複数ありますので、以下に例を挙げておきます。
- 不具合のある屋根材を使用している
- 自然に割れる
- 新築時の施工中に割れる
- 屋根の塗替え工事で割れる
- アンテナ屋さんなど他の単発工事の職人さんが割ってしまう
- 自然現象の物理的打撃
屋根の劣化をチェックするポイント
不具合のある屋根材か確認する
屋根材の中には不具合がある商品があります。
以下の屋根材は、割れや剥がれ、欠けなどの問題が多く出ています。
- ニチハ パミール
- クボタ コロニアルNEO
- セキスイ かわらU
以上の3つの屋根材は「割れ・剥がれ・欠け」といった不具合が多く、注意が必要です。
いずれもノンアスベストの商品の先駆けとして売り出したもので、1996年~2008年ごろまでに製造されている屋根材です。
大手メーカーの屋根なのですが再塗装が出来ない状態のものが多くなっています。
これらの屋根かどうかはの確認方法は、設計図面に書いてあることが多いです。
また、屋根材の表面が剥がれて白くなっているのが地上から見ても明らかに分かります。
その他の割れの確認方法
その他の不具合を一般の方が確認するのは難しいでしょう。
棟板金と同様に、10年ごとの塗装時にチェックやメンテナンスを行うしかありません。
屋根材メーカーのカタログ上では、コロニアル屋根は10年ごとの点検と塗装次第で35年以上の寿命はあるとの事ですし、実際にもその程度は特に葺き替えたりカバー工法にする必要は無いと思います。
まとめ
この記事では外壁塗装をする時に最も大切な「劣化のチェックと早期発見」について下記の項目でお伝えしました。
外壁塗装の目的のうち「家を劣化させずに長持ちさせる」という部分で大切なのは以下の3項目です。
- 外壁の表皮が劣化しないように、しっかり丁寧に塗ること
- 劣化しかかっている所を見つけ、補強をしてから塗ること
- 既に劣化している所は、補修をしてから塗ること
まずは劣化させないことが最重要ですから、築10年前後になったらこの記事で挙げた6つの場所を目視で良いので確認してみましょう。
そして、劣化の兆候が見つかったら、早めの手当てを行うためにも一度専門家に相談してみるのが良いでしょう。