雨漏りを見つけたら誰でもショックです。
我が家で雨漏りするなんて…とてもビックリしてしまいます…
この記事では一般的な木造住宅で雨漏りしてしまう原因と、その時の対処方法について解説をします。
大切なのは、雨漏りがあっても慌てないことです。
すぐには家が崩れることは無いですし、かといって自然に直ることもありません。
この記事のように、幾つか考えられるパターンの中から選択して粛々と進めることです。
木造住宅の雨漏りの原因
木造住宅で雨漏りが起きる原因は外壁の表面ではありません。
外壁の表面は一時防水と言って、大雑把に雨水を止める役割だからです。
本当に雨水を止めているのは外壁の内側の防水シートです。
防水シートのことを二次防水と言います。
それが破れているので雨水が室内にまで行ってしまうのです。
- 一次防水:外壁の外側(外壁素材や塗装)で雨水の侵入を防ぐこと
- 二次防水:外壁の内側(防水シート)で雨水の侵入を防ぐことを
※二次防水が決壊すると雨水が室内に漏ってしまう
雨漏りの修理は、防水シートの切れを直すこと
つまり、雨が漏っている状態であれば、必ず外壁の内側の見えないところにある防水シートに穴が開いているのです。
ですから外壁を剥がし、雨漏りの根本原因である「外壁の中の防水シートの切れ」を直さないと、雨漏りは直せないというわけです。
防水シートが切れて雨漏りしてしまう原因
では、なぜ防水シートに穴が開いてしまうのでしょうか?
原因は主に下記の3つです
- 設計ミス
- 建材の耐候性不足
- 経年劣化
① 設計ミス
主に建築家・設計士などに依頼する「オンリーワン」の家を建てると多くなるケースです。
今までに無い(作ったことの無い)デザインの家は、どうしても従来の設計を無視する部分が出てきます。
その結果雨仕舞いが弱い造りになってしまいます。
② 建材の耐候性不足
建材の進化が進み、雨や太陽光の紫外線劣化に強い素材がどんどん増えています。
ただ、その建材が期待通りの耐候力が得られないこともよくあります。
その場合、特に強くなった建材の性能に頼ったデザインの家では、劣化が想定外に進むと雨が漏ってしまうことになるのです。
③ 経年劣化
適切な設計と施工による家でも、メンテナンスを怠れば劣化が進んで雨漏りに繋がります。
特に多いのは以下の3点です
サイディングの目地
サイディング外壁は、一見何もしなくて良いように思えてしまいます。
しかし、10年以降でつなぎ目の目地が切れてしまい、その亀裂からサイディングの内側に雨水が入ってしまいます。
モルタルのヒビ割れ
モルタル外壁のひび割れは、築30年以上の建物だと多くなります。
これは防水シートの性能が過去はあまり良くなかったことが原因です。
バルコニー廻り
バルコニー廻りの雨漏りは、防水部分とサッシ廻りの隙間から雨水が入ることが多いです。
元々穴が開いていた部分に雨水が入り込んでしまうことが原因で、この場合は劣化という訳ではありません。
雨漏りの保証は10年
上記の原因のうち、設計ミスと施工の不備については新築時に原因があり、築10年以内の雨漏りであれば施工の保証(瑕疵担保保険)で修理を行えます。
しかし、保証・保険の期間は10年で打ち切りになるので、10年目以降の雨漏りだと新築時の保証では修理してもらえません。
雨漏りに対処する3つの方法
雨漏りに対する考え方はおおむね下記の3点です。
- 雨漏り箇所を中心に内外の壁を解体して修理する
- 雨が入っていそうな場所を探して埋める
- しばらく様子を見て経過観察する
1つずつ解説をしていきます。
①雨漏りを完全に直す【解体工事】
木造住宅の雨漏りを直すには、原因の特定が一番大事です。
それには、外壁や、室内側の壁・天井などを剥がしていけば、必ず原因が分かります。
雨漏修理の基本の考え方は、防水シートが切れている部分の修復です。
それをしないで「雨漏りを直した」というのは間違いというもの。
ですから「雨漏りを直す工事」には、必ず解体が必要です。
「雨が漏っている」ということは、建物にとってあってはならない異常事態です。
その「あり得ないこと」を「あるべき元の姿に戻す」には【手術】が必要です。
決して絆創膏では直りません。
家に手術を施すには「解体」が必要です。
外壁を解体して雨漏りを直す費用
外壁の一部を解体して雨漏りを修理する場合、その部分の工事だけでおおむね50万円前後は掛かると覚悟をしていた方がよいでしょう。
(足場や塗装などは除いた金額です)
そんな大掛かりな(費用の掛かる)工事は有り得ない!と思われるかもしれません。
しかし残念ながら「雨が漏っている」ということは最初にも言った通りで…
「有り得ないこと・有ってはいけない事」が起きているのです。
有り得ない事が起きてしまっているのは、とても残念なことです。
他の家では有り得ない事が起きているからこそ…雨が漏ってしまうのです。
有り得ない事を元に戻すには、有り得ない(考えたくない・やりたくない)工事をしなければならないのです。
②雨漏りを完全には止められない【シール補修】
雨漏りが発生した時のお客様の要望の大半は「費用を掛けずに、簡素な工事で雨漏りを簡単に止めたい」というもの。
この場合の工事内容は主にシーリング工事(コーキング)で雨の入り口を埋めたり塞いだりすることです。
それで雨漏りが止まればラッキーですが…ほとんどの場合、雨漏りは止まりません。
さらに、応急処置なので雨漏りの根本原因を直せません。
ですから、シーリング(コーキング)の補修では、雨漏りが直るか直らないかの保証ができません。
でも…いきなり壁を壊してまでする工事をする気にはなれないものです。
試しに埋める補修をしてみる(雨漏りが止まる精度は低くても…)
良心的な業者ならそういったことも踏まえ、簡単にヒビや隙間などを埋めても直らないのはとりあえず分かっていても…
「試しに埋める補修」をしてみる
…という選択をする場合もあります。
しかし、当然ですが雨漏りが止まる精度はかなり低くなります。
実際に内外壁を解体して本格的に雨漏り修理をするには、10年間我慢しなければその気になれないものです。
③しばらく様子を見る【経過観察】
雨漏りは困るけれど…
解体してまでの大工事は出来ないし、シールで色々な場所を埋めても直らない…
そうなると「しばらく様子を見る」という案が出てきます。
その時には漠然と放置せず、しっかりと経過観察をすることが重要です。
雨漏りの経過観察の方法
雨漏りの後では、その後の状況を確認することが大切です。
その一番簡単な方法は、雨水の出てくるところに「点検口」を付けて、壁や天井の奥を見るのがお勧めです。
雨の出口付近の下地を観察することで、下記の確認ができます。
- どの程度まだ放置していても大丈夫か?といった判定ができる
- どの程度の酷さになったら本格的な工事をしなければならないのか?が確認できる
雨が漏ったからと言って、すぐさま家が崩れる訳ではありませんが、とにかく劣化しているところが見えないと不安が拭えません。
下地の状況が見て確認が出来れば、劣化の進行が分かります。
下地の濡れ具合が確認できれば、そのような雨だと漏る・漏らないの状況把握にも繋がります。
まとめ
雨漏りはしない方が良いですが、それに驚き・心配し過ぎるのも良くないものです。
雨漏りの原因が分かると、上記のうちからどの選択をすれば良いのかの判断材料になるかもしれません。
- オリジナルデザインによる設計ミス
- 建材の性能が期待を下回り劣化してしまった
- 通常のメンテナンスをせずに起きた経年劣化
ですから、雨漏りを見つけた後は下記の②か③のパターンになる事が多くなります。
(①のパターンはほとんどありません)
- 外壁を剥がして本格的に雨漏りをしないようにする工事
- 雨漏りは止まらないとは思うけれど、怪しい箇所を埋める工事
- 雨漏りは止めずにその後の経過観察をする
最後まで読んでいただきありがとうございます。
この記事の内容が腑に落ちて早めに今の悩みが解決すると嬉しいです。